技術資料

HOME > 技術資料:技術資料 > 学習/トレーニング用 臭質サンプル オフフレーバーキットⅡ

学習/トレーニング用 臭質サンプル オフフレーバーキットⅡ

学習/トレーニング用
臭質サンプルオフフレーバー
キット

本キットは、特徴的なオフフレーバーの臭質を覚えることを目的としたもので、オフフレーバーに関わる様々な担当者の臭質学習や嗅覚官能検査パネルのトレーニングに用いることができます。オフフレーバーとなりうる特徴的な臭気を体験し、異臭事例・物質の由来等の解説と併せて学習することができます。

オフフレーバーキットⅡ 概要

型名/品名 990-56666 オフフレーバーキットⅡ 5ML×10種類入り
(ブランクとしてプロピレングリコール溶液 1本含む)
価格 20,000円(税抜き)
1セット(臭質サンプル9種類+ブランク1種類)
サンプル内容 キットに含まれる9種類の臭気物質には、臭質の学習のために、
食品等のオフフレーバー事例の中から特徴的なものを選びました。

雑巾臭、溶剤臭、かび臭、樹脂臭、金属臭、青臭、魚臭、チーズ臭、果実臭、など
利用イメージ 様々な現場担当者(工場・流通・販売 等) 、カスタマーサービス部門担当者、品質管理・検査部門担当者を対象とした「オフフレーバーの体験/学習」および「嗅覚官能検査パネルのトレーニング」
製造販売元 林 純薬工業株式会社
製品企画元 一般社団法人 オフフレーバー研究会
お求め 試薬取扱店または、林 純薬工業(株)

TEL:06-6910-7290
お問合わせ 林純薬工業株式会社 マーケティング・商品開発部 商品企画G
オフフレーバーキット係

TEL:06-6910-7290
FAX:06-6910-7340
E-mail:mpd@hpc-j.co.jp
Web: http://www.hpc-j.co.jp/reagents/off_flavor/

 

オフフレーバーキットを用いた臭質体験・学習・判別トレーニング例

 

オフフレーバーキット 各物質の解説

No. 物質名 嗅覚閾値レベル 臭質の特徴 異臭事例
極低 物質の由来等
PG プロピレングリコール 無臭 (オフフレーバーキットの溶媒として使用しています)
(トレーニングの際に,無臭のコントロールとしてご利用下さい)
11 4-メチル-3-ヘキセン酸
(4M3H)
数~
数十
ppb
雑巾様臭、 生乾き臭 飲食店、スーパーマーケット、家庭で繰り返し洗濯し使用される布巾・タオル … 雑巾臭
洗濯後の衣類やタオル等で発生する。 繊維中に残存する皮脂汚れ等の油脂成分と乾燥中や使用中の湿り気があるときに、身近な生活環境中に存在し通常の洗濯では除去されない細菌(モラクセラ菌;Moraxella osloensis)により生成される。

飲食店、スーパーマーケット、家庭で繰り返し洗濯し使用される布巾・タオル等については、殺菌が十分でないと異臭を発生させる原因となる。
12 メチルエチルケトン
(2-ブタノン)
数百
ppb
~数
ppm
溶剤様臭、
アセトンとエーテルの
混合様溶剤臭
惣菜パン等、フィルム包装された
食品
… シンナー様臭、溶剤臭
製造資材混入の可能性がある。包装フィルムの日付印字用インクジェットに使用されるインク、希釈液、ノズルヘッド洗浄液に溶剤として含まれているため、それらの管理状況によっては工場内でイレギュラーに付着・混入・移染して溶剤様臭の原因となる。

包材フィルム自体に由来する場合では、ドライラミネートの接着剤としてトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチルが使用され、また、グラビアインクの溶剤としてトルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、酢酸エチルが使用されるので、フィルム製造・印刷時の加熱乾燥工程に不良があると、包材フィルム原反の段階でこれらの物質がオフフレーバーとして残存し、それを用いた製品にもたらされる。

特にバリア性の強い包材材質の場合には外部に抜けずに内側に篭ってしまうこととなる。
13 2,4,6-トリブロモアニソール
(2,4,6-TBA)
数~
数十
ppq
かび臭 ワイン、日本酒 … かび臭
2,4,6-トリブロモフェノール(2,4,6-TBP)がある種のカビの作用で O-メチル化されて生成する。2,4,6-TBPは木材用防黴剤のほかに樹脂に配合される難燃剤などとしても用いられており、食品の製造環境、輸送・保管環境にある木材・プラスチック資材で生成すると、近接する食品等へ移行・移染する。

ワインの2,4,6-TBA によるカビ臭の事例では、ワインと直接・間接に接触する木製品が、2,4,6-TBP で処理されていることが考えられる。

また日本酒においても、新酒鑑評会でカビ臭の指摘のあったサンプルで閾値を超えていた事例がある。
14 2-トリデカノン 数~
数十
ppb
樹脂様(ポリ)臭、
包材臭、加熱劣化臭、
フルーティ、グリーン
ポリエチレン包材 … 包材臭
ポリエチレン(PE)フィルムの加熱成形時に、分解酸化物として生成する包材臭成分として、(E,E)-2.4-デカジエナール(油臭)と2-トリデカノン(ワックス臭)がある。

PE成形時の温度により増大するため、食品包材に用いたPEフィルムからこれらの包材臭が内容食品へ移行して問題となる場合がある。

フィルム成形時の加熱温度が160℃以上になると、両化合物とも FD-Factor(フレーバーダイリューションファクター)が2倍以上増大する。
15 1-オクテン-3-オン 数~
数十
ppt
金属臭、 鉄臭、 血液臭、
マッシュルーム臭
PETボトル詰柑橘果汁 … 金属様臭
錆びた鉄棒を握った後の手のひらや、口腔内の出血などで感じる「鉄のにおい」の原因物質の一つ。二価の鉄イオンを触媒とし、リノール酸等の不飽和脂肪酸が酸化されて生成する。

不飽和脂肪酸は、人体代謝物として皮膚表面に存在するほか、口腔内粘膜中にも存在するので、二価鉄イオンを含む鉄強化食品ではそれ自体は鉄臭がしなくても、食べてから口の中でこの物質が生成して鉄臭(鉄味)を感じることがある。

食品への鉄錆等由来の二価鉄イオンの混入は、鉄臭・血液臭等の苦情原因となる可能性がある。
16 n-ヘキサナール 数百
ppb
数百
ppt
青臭、 古米臭、
油酸化臭、
紙臭・段ボール様臭、
油臭いグリーン香
大豆製品 … 青臭み

揚油、油菓子、
インスタントラーメン
… 酸化臭

精白米
… 古米臭

牛乳
… 紙臭、ダンボール臭

鶏肉
… 加熱臭
豆乳の青臭み成分として知られている。リノール酸などの不飽和脂肪酸に由来し、これらがリポキシゲナーゼによる酵素反応や光酸化、加熱などにより過酸化脂質となり、更にヒドロペルオキシドリアーゼの作用を受けて生成する。

豆乳や大豆蛋白原料等、大豆の青臭みの原因となるほか、揚げ油、スナック菓子、インスタントラーメン等の油の劣化臭物質の一つでもあり、酸価や過酸化物価に異常がなくても官能的に油の劣化を感じる場合の原因となる。

また、古米臭、鶏肉の加熱臭、豚肉や魚肉の不快臭の原因物質の一つでもあり、牛乳では紙臭・ダンボール臭と表現されることがある。これらにおいても、ヘキサナールは不飽和脂肪酸の酸化に起因して生成するが、同時に他のアルデヒド類や脂肪酸なども生成し、これらとの複合臭として感じられる。
17 n-ヘプタナール 数 ppb 数百
ppt
魚臭、油臭、
ツンとくる果実臭、
脂肪臭を伴う果実臭
杏仁豆腐 … 酸化臭

魚油
…特有の不快臭
さば等の青魚に多く含まれる多価不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)の酸化分解により生成し、同様に生成する (E,Z)-3,5-オクタジエン-2-オン とともに魚臭の原因となる。
18 n-酪酸 数百
ppt
チーズ臭、
銀杏臭、
古漬臭、腐敗・劣化臭、
変敗臭、柿渋様、
ヒトの足の悪臭
漬物 … 古漬臭

… 劣化臭

真空パック・缶詰
… 腐ったチーズの
臭い(膨張)
物質名は、バターから得られたことに由来し、バターやチーズに1~3%程度含まれる。また、くさや、鮒ずし、古漬け、銀杏のにおい成分の一つでもある。脂肪酸の分解や酪酸菌による発酵で生成する。

漬物の過発酵や原料魚の鮮度低下により異臭苦情の原因となる。なお、真空パックや缶詰が膨張していたり異臭(酪酸臭)があるときは、ボツリヌス菌による食中毒リスクがあるため、食べないようにする。
19 酢酸エチル 数百
ppb
~数
ppm
果実臭、シンナー臭、
接着剤臭、
溶剤臭、芳香臭、
熟した果実
米飯、牛丼、いなり寿司、生めん、惣菜、佃煮、きんぴら、団子、福神漬、どらやき、パン、生パン粉、
冷凍食品
… シンナー臭、接着剤臭

さんま寿司 … 揮発油のような味と臭い
パンや生めん等の食品で発生するシンナー・接着剤臭物質として知られている。工場内の環境中に生育するハンゼヌラ属酵母(Pichia anomala)等による食品汚染が原因で、この酵母により糖類、エタノールから生成する。

生成機構は、酵母の膜酵素アルコールアセチルトランスフェラーゼ(AATase)の作用で、アセチル-CoAのアセチル基が転移することによる、エタノールのアセチル化である。Pichia anomala はエタノール資化性が強く、エタノール殺菌のみでは死滅しないため、エタノール噴霧等を長期間継続すると選択的に生き残って工場内に定着し、食品を汚染すると異臭事故につながる。ハンゼヌラ菌を含む酵母様真菌類は環境中に広く存在し、果実等の表面にも存在するので、これら原料の工場内での取り扱いにも注意が必要である。

他に、ワインには酵母によるアルコール発酵の副産物として50-120mg/L程度含まれるが、更に異常と感じるレベルの高濃度となる場合には酢酸菌が原因となっていて、樽貯蔵中に空隙が存在する等の条件において、好気性のこの菌により生成する。

包材フィルムに由来する場合では、メチルエチルケトンと同様に(上記No.12参照)、ドライラミネート接着剤、グラビアインク溶剤に使われるため、乾燥不良が原因となりフィルムに残存し、製品のオフフレーバーとなる場合がある。

 

企画 一般社団法人オフフレーバー研究会
製造・販売 林純薬工業株式会社

ページトップへ ▲